『えんとつ町のプペル』と『桃』から続くものがたり
私たちは色んなものをおいて今ここにいます。(今回はなんとなく敬語調でいってみます)
前に住んでいた町は、ルルが生まれた町でありルルを通してたくさんの人とつながり、たくさんの勇気をもらい挑戦し、泣いたり笑ったりしてきた町。
その挑戦のひとつに、「地域ならではのイベントの立ち上げ」がありました。
はじまりは「子育てで打ちのめされた自分をすくうため」。
(「打ちのめされた」というのはどうあがいても思い通りにいかないことがあると知ったという意味です。)
ルルが生まれ育ったという意味では愛おしくてかけがえのない場所ではあるのだけど、なんせつらかったこともたしかなので、落ち着いてきたタイミングでこの場所で子育てがたのしくなるようなことをやってやろう、加えて他地域からも人が来るような「何か」を打ち出せたらいいな!と考えました。
しかしそんな都合よく「何か」はないだろう、と思っていたらありました。
それは『桃』です。
この地域で昔から栽培されているという特別な『桃』があったのです。
その桃は地域の名前を冠して、呼ばれていました。
海岸沿いの砂地を活かして、昔は季節には電車から一面桃の花が見えていたとのこと。
私は活動中ずっとずっとその光景を(見たこともないのに)思い浮かべていました。
調べた限りでは現在(当時)では二軒だけの農家さんが栽培されていました。
もちろん、もう電車からは見えません。
ひっそりと細々とつないでいらっしゃったのです。
在来種の保存に意欲的な方ともつながり、農家さんに「これからこの桃をたくさんの人に知ってもらいましょう、また桃畑をつくりましょう!」と呼びかけたのですが、結局一軒の農家さんからはいいお返事はもらえませんでした。
もう一軒の農家さんは協力してくださることになり、最後まで一緒に活動してくださいました。
調べていくうちにわかったことは、現在栽培されている桃は当時の品種ではないということ、当時は庭先に一本植えられているくらい地域のシンボルであったこと。
当時を知る人のお話しでは、おやつといえば桃、今のような桃色でふっくらしたジューシーな桃ではなく、小ぶりでコツコツのあおい桃、塩を皮にゴリゴリにまぶしてかじりついたとのこと!
たとえて言うなら「孫悟空がたべているような桃」だといわれました。
「なるほど~~・・・!」とわかったようなわからんような。
でも想像しましょう、想像は自由だ!と当時に想いを馳せながらちびルルをお供に地域を駆け回りました。
活動しやすいように「地域の立ち寄り処つばめや」を立ち上げ、「地域の居場所」としてイベント拠点、主催としました。
そうしているうちに、町内会長や地域を愛している人、地域を拠点に活動している人、活動を知って賛同してくれる人が着々とふえて、何度か「桃の市(いち)」として、産直販売会、地域のパン屋さんや施設とコラボした商品の販売が実現しました。
地元メディアも取り上げてくれたり、少しずつ地域の桃が認知されている手ごたえを感じる反面、一部の住民の方からはいろんな意見がありました。
しずかな暮らしをかきまわされたくない、私自身が「よそもの」であるので信用に欠けるといったことです。
そうこうしているうちに、協力してくださっていた農家さんも撤退することになり、「桃再興プロジェクト」は終わることになりました。
そしてそれから間もなく、わたしたちは鈴川を離れることになりました。
なぜ「えんとつ町のプペル」かというと、同じ地域に暮らし仲良くしていた(今も仲良し♡)友人一家からプレゼントされた絵本がそれでした。
芸人さんが描かれた絵本であると話題で、せっかくだからとサイン本をくれたのです。
とてもうれしくて何度もルルと読んだし、ストーリーにも絵にも感動しました。
そして巡り巡ってこの冬、その「えんとつ町のプペル」が映画化されるというのです。
作者であるキングコング西野さんが、作品について語られているのをきいて「桃」のことを思い出しました。(動画みてね♡)
そして今も、学校に行かないルルの手を取っていく先はきっとこの地域ではだれも見たことがない世界だと思う。
不安はないけれど、誰に何と言われようとあそこに置いてきた大切ないろいろをちゃんと浄化したいなという想いではあります。
不思議なことにこのタイミングで吹いてくる風があったりして。
先日の、「書道家・佳心」さんもそう。
応援してくれていた友人から「桃の季節ダネー、ひとに紹介したいからあの桃の情報知ってたらおしえて」なんて連絡きたり。
(冒頭のデザインレターはこの友人作。書道家・佳心さんとのコラボ企画~コロナにまけるな~より)
今日明け方には一緒に「桃」の保存に尽力してくれた方から「元気?」なんてメールが入っていたり。(返信してなかった!)
正直もう「桃」の現状を知る術はないのだけど、まだつながっているし、私がしてきたことはかすかでも確実に誰かの中に残っているんだとわかった。(いつの間にか敬語調終わってる)
かつての桃畑の桃の花とプペルが見る星空をかさねて、映画を観に行こうと思います。(最後にまた敬語にしてみる)
スポンサー
最近のコメント